2012年9月30日日曜日

収入や貯蓄の絶対額には興味がない


日本人の価値観が変わりつつあるようです。最近は、身の丈にあった生活を指向する人たちが増えているようにみえます。これは日本人の考え方が、成熟してきているともいえるでしょう。

例えば、恋人へ贈るプレゼントで考えてみると、バブル期では金額で愛情が測られがちでした。現在でも、高価なものの方が良い、と考える人は多いでしょう。一方で、大した稼ぎもない人がブランド物のアクセサリーなどを贈った場合、この人の金銭感覚は大丈夫なのか?、と愛情を感じるどころか、むしろ金銭感覚を疑われてしまうリスクが高まっています。

要は、収入が多い人は“それ相応"にお金を使えばいいし、そうでない人は見栄を張らずにそれ“それ相応"の使い方が求められる、ということを理解し始めたのだと思います。

ここで大事なのは、“それ相応"とはどの程度なのか、ということです。これを測る指標としては、

   収入に占める投資と貯蓄の割合=投資貯蓄額÷(生活コスト+投資貯蓄額)

が重要になります。どれだけ収入が多かろうが、この比率が低ければ、いつか生活水準を落とさなければなりません。

60歳前後まで働き、生活水準をその後も変えないという想定では、大まかにいって2〜3割が目安になるでしょう。つまり手取り収入が30万円の人の場合、6〜9万円を貯蓄や投資に回すことが期待されます。通常は、住宅ローンも投資に含めるのが普通ですが、期待リターンが非常に低いとみられるため、私は住宅購入は“投資”ではなく“消費”であると考えています。

もちろんこの割合は、先行きのインフレに大きく左右されることに注意が必要です。仮に、現金へのみ投資する場合は、大きなインフレリスクを負うことになります。現在の日本はデフレであり、偶然か必然かは解りませんが、現預金比率の高い高齢者に有利な状況です。しかし、この状況が私がリタイアしているであろう40年後まで続くかというとやや疑問です。

こうしたリスクがあるからこそ、年金基金はインフレ耐性のある株式資産のウェイトを高めに設定することが普通です。しかし最近は、債券投資をオーバーウェイトしている基金が多くなっているようで、この点は気になります。もちろん、欧州をみればわかりますが、株式資産でも財政インフレには勝てません。政府がその気になれば、国民のカネを奪うぐらい簡単なことです。

ちなみに私の手取り収入に占める投資比率は約5割(公的年金の天引きを除く)、投資対象は株式資産のみです。私は公的年金をあまり信用していないので、公的年金がゼロになったとしても、リタイア後の生活費を賄えるようにしています。投資比率が約5割ということは、1年過ごすごとに、1年分以上の購買力を蓄えてることになります。